小林恭二(著) 宇田川心中*17

トル竜のアルバムを聴きながら、読んでた本がこちら。
恋愛を描いた前作の『本朝聊斎志異*1の拡大版といった趣きなんだけど、因業の深い男女の愛を描いてて、前作より少々読みにくかった。
作品テーマが重いけど、忘れた頃に「なんとなれば」挿入されるシニカルでコミカルな描写はいつものように。
トル竜の曲『クエリー』は「再会の扉は開かれず」だったけど、本書では

愛をはつまるところ約束なのだ。それも再び逢うという、ただそれだけの約束なのだ。必ず再び逢うという約束をな。その約束がある限りは、愛は失われぬ。たとえ永久に近い時間を隔てても(370ページ該当)

   と何度も添え遂げられぬ主人公達に励ます菩薩様の言葉に感動。
なんとなく『クエリー』聴いてると勝手に本書を思い出してしまうわ。
壮絶な物語だったけど、次作が早く読みたい。

*1:yoshinyoroの読了後の感想? - http://d.hatena.ne.jp/yoshinyoro/20040516